[ オピニオン ]
(2019/6/28 05:00)
28、29の両日、大阪市で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、世界のトップたちが一堂に会する。米中貿易摩擦などで世界経済の下振れリスク懸念が高まる中、貿易・投資問題やデータ流通のルール整備などを議論する。焦点の米中首脳会談で交渉が一歩でも進展すれば、産業界には明るい材料だ。議長の安倍晋三首相には、緊張を和らげるムードづくりを期待したい。
G20は、加盟メンバーだけで世界の国内総生産(GDP)の8割超を占める。2008年、リーマン・ショックをどう乗り越えるかを討議したのが始まり。以来、閉幕時の宣言文に「保護主義に対抗」との文言が入ったが、今回は18年と同様、米国の反発で盛り込めない見通し。中国に配慮し産業補助金への言及も難しく、利害が交錯する多国間会合の厳しさといえる。
日本は、批判票の少ない分野を“ソフトパワー”で主導する。信頼性のあるデータの自由な流通「データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト(DFFT)」であり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にかかわる途上国への貢献策の表明だ。各国への呼びかけで、新たな経済の力を育てていきたい。
最大の注目点は、29日に予定される米中首脳会談だ。GDP1位、2位の経済大国は半年間、関税の報復合戦を繰り広げているが、にらみあいを解消しない限り、世界経済の下方リスクを拭い去ることができない。
このまま、米中間の物品すべてに最大25%の課税をかけることになれば、国際通貨基金(IMF)は「世界のGDPが0・5%押し下げられる」と警告。大和総研は実質GDPに最大で「米国0・55%、中国0・36%、日本0・22%のマイナス効果」を予測する。
令和の時代に入って約2カ月。海外に向け政府は、令和を「ビューティフル・ハーモニー(美しき調和)」と説明する。国際会議では、国内最大級とされるG20サミット。各首脳が国際協調の意義と重要性を再認識できるよう、日本には調整力の発揮が期待される。
(2019/6/28 05:00)
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