[ オピニオン ]
(2019/8/12 05:00)
10月の消費増税を目前に、内需の堅調さが確認できた。今後は政府の対策予算が功を奏し、増税による消費の“ガケ”を乗り越えることを期待する。
内閣府が9日発表した2019年4―6月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、年率1・8%増と3四半期連続の増加だった。大方の民間予測を上回る結果だ。
成長に最も寄与したのは民間需要で、特に家計最終消費支出は四半期ベースで実質0・6%増と、1―3月期の同0・1%増から大幅に伸びた。令和改元による10連休によって、サービス消費が伸びたことが要因とみられる。設備投資も堅調で、民間企業設備は同1・5%増と急伸した。
一方、外需は同0・1%減で、1―3月期に続いてマイナスだった。中国経済の成長鈍化が響いた。今後、米中貿易摩擦の激化がどの程度の影響を及ぼすか注視したい。
4―6月期の名目成長は年率1・7%増と、デフレは落ち着いた状態にある。また18年度(4―3月)の経済成長は、実質0・7%増、名目0・5%増という結果だった。好景気を実感できるほどの力強さはないものの、家計を中心とした内需が、わが国の経済成長を主導していることは望ましい。
足元の7―9月期を予想すれば、大型連休効果は継続しないものの、7月末以降の猛暑効果や消費増税前の需要増が見込まれる。西日本の豪雨災害などマイナス要因はあるものの、堅調な景気を維持しつつ増税に臨むことができそうだ。
問題は消費増税前後の消費の落差である。政府は19年度予算で、中小小売業者へのポイント還元やプレミアム商品券、防災・減災のための公共事業など、2兆円を超す「臨時・特別の措置」を決めている。これらの施策が効果を発揮し、実体経済への打撃を最小化することが望まれる。
世界経済に関しては依然として不安要因が大きく、日韓の対立など新たな懸念も生じている。政府には引き続き、景気へのきめ細かな配慮を願いたい。
(2019/8/12 05:00)
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