[ 機械 ]

VACUUM2019真空展/真空機器の手軽さ追求 小型軽量、スマホが表示器

(2019/9/6 05:00)

  • 島津製作所の高圧縮型ターボ分子ポンプ

  • アルバックの真空計はスマホと連携

横浜市西区のパシフィコ横浜で6日まで開催中の真空機器・真空装置の総合展示会「VACUUM2019真空展」(日本真空工業会、日本表面真空学会、日刊工業新聞社主催)では、出展各社・団体が“気軽さ・手軽さ”をコンセプトとする新製品を披露している。41回目の今回の開催テーマは「真空でつくる新時代」。真空技術が多くの産業を支える基盤技術であることを紹介している。

アルバックは10月末にも発売する小型で持ち運びできるピラニ真空計「SWU10―U」を展示会の目玉に据えた。スマートフォンと有線でつなぎ、スマホ自体を表示器とする。スマホの電池から電源供給するため、真空ポンプのメンテナンス時に到達圧力の確認を手軽にできる。担当者は「潜在顧客が、使い勝手が良く簡単に計測できる製品を求める傾向にある」と話す。

島津製作所はターボ分子ポンプなどを紹介している。一押しの展示は高圧縮型・小型ターボ分子ポンプ「TMP―B70形」。分析・計測機器を中心に一般産業や大学の研究室で「性能はそのままに、気軽に持ち運べる卓上タイプが求められている」(産業機械事業部)ためだ。こうした用途で裾野を広げていく。

荏原は空冷式ドライ真空ポンプ「EV―PAシリーズ」を展示している。小型軽量で持ち運びやすく、家庭用100ボルト電源で動作する。水冷式が主流の同社が空冷式を一般産業や大学などの研究開発などの用途で訴求し、市場を開拓する。

エドワーズ(千葉県八千代市)は、空冷式ドライ真空ポンプ「nXRi」の実機を初披露。小型軽量設計でありながら、より大きな排気量を得られるのが特徴。加速器や各種分析装置向けで持ち運びの良さを強調している。

一方、芝浦メカトロニクスのように車載向けにスパッタ技術をアピールする出展ブースもある。主催者展示では、真空展で初となる次世代自動車と真空技術との関わりを示した展示や、4―5日に埼玉工業大学の協力の下で実施した自動運転車の試乗体験など、真空技術が新時代に貢献する技術だと理解できる展示も多い。

日本真空工業会(JVIA)の北村歩展示会委員会委員長は「真空業界も次世代自動車の開発に関わっていることを知ってほしい」とし、埼玉工大自動運転技術開発センターの渡部大志センター長は「試乗を通じて未来感を味わってほしい」と話す。浮き沈みの激しい半導体業界向けだけでなく、自動車業界や一般産業など向けにも裾野を広げる展開は今後も続きそうだ。

(2019/9/6 05:00)

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