[ オピニオン ]
(2019/9/6 05:00)
景気後退を危惧する米連邦準備制度理事会(FRB)が10年半ぶりに予防的な利下げに踏み切った8月1日以降も、米中の貿易戦争は深刻の度を増している。このためFRBは今月17、18日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを実施する可能性が高まっている。欧州中央銀行(ECB)も11、12日の理事会で追加緩和に踏み切る公算が大きく、利下げの連鎖が広がりそうだ。
米国はこのほど中国からの輸入品に15%の関税を課す対中制裁第4弾の一部を発動した。これに対して中国も750億ドル規模の米国製品の一部に追加関税を課す報復措置を実行した。両国は対立回避に向けて10月上旬に閣僚級の通商協議を開く予定だが、報復措置の応酬で協議再開は難しいもよう。さらに残りの部分についても今年中に関税引き上げを発動する構えで米中貿易戦争は収まる様子がない。
欧州ではドイツが中国向け輸出の不振を主因に、4―6月期の成長率が3四半期ぶりにマイナスに陥った。このためECBが次回理事会で利下げを実施するのは確実とみられる。
世界的な利下げの連鎖を受けて、日銀への追加緩和圧力が強まるのは必至。米国の利下げは円高・ドル安を加速させ、円高が日経平均株価の下押し圧力となる。日銀は「リスク顕在化を未然に防止するために政策対応することも選択肢」とし、追加緩和の可能性をにじませる。
だが、追加緩和の具体策には事欠くのが実情で、マイナス金利の深掘りは副作用を拡大するため、選択するのは難しそうだ。緩やかな景気回復が続く中で、日銀が18、19日に開く金融政策決定会合でどのような判断を下すか注目される。
リーマン・ショック以降、各国は景気テコ入れのため長年にわたって金融緩和策を続けている。その結果、政府、企業、家計の借り入れが膨らみ、いまや世界の債務残高は過去最高水準。投資や消費に借り入れは不可欠だが、過剰になると、世界経済が悪化した際に返済不能に陥り、リーマン・ショックの再燃を招くだけに警戒が必要だ。
(2019/9/6 05:00)
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