(2019/9/24 05:00)
スマート工場実現を支援
日立システムズはスマート工場(デジタル化された先進工場)の実現に不可欠な製造業向けの産業用ネットワーク構築サービスを開始した。工場の現地調査などをもとに現状のネットワーク基盤の課題を洗い出し、生産設備から情報を安全に収集・管理できるようにする。最終ゴールとしてOA(オフィスオートメーション)用ネットワークとの連携を含む情報網の確立を視野に入れつつ、その第一歩であるフィールド機器間やコントローラー間ネットワークの構築など現場のデジタライゼーションの支援に力を注ぐ方針だ。
工場の課題
IoT(モノのインターネット)ブームの高まりを背景に、スマート工場を目指す企業は多い。反面、ネットワーク化に取り組んだものの、ほとんど進展が見られないケースもある。
一番の原因は、既存の産業用ネットワーク基盤の脆弱性にある。工場の生産ラインをつなげるネットワークはあっても、ほとんど管理がされていなかったり、設備増強に合わせてネットワークを拡張した結果、無秩序なネットワークとなり設備全体が把握できないなどの問題が生じている。また、工場内の機器や設備をつなぐ産業用ネットワークは、通信手順、接続形態、利用環境などでOA用ネットワークとは大きく異なる上、安易にOA用ネットワークと接続すると、セキュリティーの脅威にさらされることにもなりかねない。
現場視点で
これに対し、日立システムズが提供を開始した製造業向け「NETFORWARD産業用ネットワーク構築サービス」は、顧客企業の現場視点に立ち、既存のネットワーク基盤の課題を洗い出し、独自のネットワークを構築して、工場の生産性向上や付加価値創造のためのデジタライゼーションを支援する。
具体的にはセンサー、サーボモーターなど主に生産ラインの制御システム機器がつながるフィールドネットワークと、制御機器であるプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)や産業用パソコンがつながるコントローラー間ネットワークの構築を支援する(図1)。
サービスの主な目的は、この二つのネットワークを適切に構築することだが、階層モデルの上位に位置するOA用ネットワークのERP(企業支援計画)とつなぐことにより、計画から生産までのシームレスな流れをつくることも可能だ。
ネットワーク構築に向けた業務支援フローは、(1)現地調査やヒアリングによる現状構成の明確化(2)OA用ネットワークとの接続方針やセキュリティー方針、監視などの検討(3)産業用ネットワークの物理・論理設計をはじめセキュリティー、監視運用などの設計(4)実際のネットワーク構築と運用-のステップで構成される(図2)。
運用に人手を割けない企業向けに、日立システムズのNOC(ネットワーク運用センター)による常時監視や問い合わせサポート、SOC(セキュリティー運用センター)による遠隔監視やインシデント対応支援などのサポートも用意している。
下地づくり
日立システムズはもともとはOA用ネットワークの構築や運用などのITサービスを得意としてきたが、近年は日立グループと連携しOA用だけでなく、OT(現場の運用技術)用のノウハウを積み上げている。それらを駆使して、現場での現状構成の明確化や構成図の作成、機器の選定、ネットワークの構築、運用まで総合的に支援できるのが強みだ。
ITに関する豊富な知見を持ちながらも、いきなりITを振りかざすのではなく、顧客企業の現場の課題を可視化し、人とITのトータルサービスによってネットワークを構築する。
「最も重要なのは顧客企業の産業用ネットワークの下地づくり。そこに注力を注ぐ」と同社は話す。
(2019/9/24 05:00)