(2019/12/25 05:00)
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長のプレゼンテーションは天下一品だ。決算説明会ではシンプルでわかりやすい資料を表示し、ステージ上を歩き回りながら主張を明確に伝え観衆(記者)の心をつかむ。
巨額投資した米企業の経営問題で、2019年4―9月期連結決算の営業損益が大幅赤字に転落した時も「今回はボロボロ」と言いながら、V字回復策を自信満々に示し、最後は「孫さんならできる」と期待感を持たせた。
破壊的技術革新を目指す「ムーンショット国際シンポジウム」で講演した時も、日本の科学者をうならせた。関連特許数で米中に大きく差をつけられた日本が人工知能(AI)開発で存在感を出すために「自動運転、DNA解析による医療科学という特定分野に焦点を当てろ」と主張したからだ。
この2分野は高齢化が進む日本の社会課題を解決する。すでに米国の企業が技術を確立したが、「技術改良に優れた日本人の特性を生かして米国の技術をアジア仕様に最適化し、東南アジアやインドを取り込めば米中に勝てる」と主張する。
ただ、その2分野のAI技術を確立した米企業は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する企業。孫さんはやっぱり抜け目がない。
(2019/12/25 05:00)