(2020/4/9 05:00)
緊急事態宣言の予告後、自宅近くのカット専門理髪店は夜遅くまで、店外に続く長蛇の列ができていた。「駆け込みでしょうね。この先、店が開けられるかどうか…」と疲れた表情の店長。心なしかバリカンで短めのカットを頼む客が目立った。
旧知のエステティックサロンのオーナーは、営業時間を短縮するとともに同時施術を避けるよう予約を調整している。「濃厚接触ですから、ひとつでも感染例が出たら業界がアウトです」。新店舗をオープンしたばかりの彼女には、長期休業は死活問題だ。
新入社員時代、隣のグループに身ぎれいでダンディーな先輩がいた。同期のライバルが「あいつは辛いことがあると散髪屋に行くんだ。今月は2度目だぜ」と教えてくれた。思わぬ散髪の効果に感心した。
現代の働く女性にも、リラクセーションやボディーケアを“あすの活力”にしている人がいるに違いない。在宅勤務が長く続くと、心までなえてしまわないかと気にかかる。
西村康稔経済再生担当相は国会審議で「理美容室は国民生活に必要。利用制限の対象とは考えていない」と表明した。零細事業者を守る意味もあるだろうが、散髪以外のどこまでが“不要不急”か。コロナの影響は底が見えない。
(2020/4/9 05:00)