(2020/5/11 05:00)
女性活躍推進の機運が高まる一方、活躍の前提として欠かせない健康について論じられる機会は少ない状況が続いている。企業は折に触れて女性の健康課題と向き合い、長く働き続けてもらいやすい環境づくりに取り組む必要がある。
改正女性活躍推進法が4月に施行され、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は女性の活躍に関する数値目標の設定方法が変わった。6月には情報公表項目も変更される。情報公表では、管理職に占める女性の割合や男女の平均継続勤務年数の差異、男女別の育児休業取得率といった項目群の中から計2項目以上を選択して公表する必要が出てくる。法整備に伴い、女性の登用に向けた企業の努力は一段と進む可能性がある。
だがその過程では、女性の健康問題への関心を高めることも不可欠だ。例えば、月経に伴う情緒不安定や腹痛、頭痛などの「月経随伴症状」による経済的負担は年間6800億円超におよび、そのうち72%が労働損失によるものという試算がある。
日本は乳がんや子宮頸(けい)がんの検診受診率が、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最低レベルとの指摘もなされてきた。企業で働く多忙な女性は検診の必要性に思いが至らない事例も多いとみられ、病気の把握の遅れが懸念される。
4月には多数の女性が新社会人となった。政策や医療の枠組みを決める立場にいる人は男性が多いものの、男性は女性特有の疾患に気付きにくい。女性の間でも乳がんや子宮頸がんなどの検診を受ける重要性は必ずしも理解されていない。
女性活躍を推進する政界や官公庁の幹部は、まだまだ男性が多数派だ。今後の政策立案にあたっては、女性でなければ分かりにくい事情をくむことが求められる。企業でも女性の役員や管理職の増加に向けた過渡期にあり“男性目線”に偏った事業運営に陥らないためにも、社外の女性の有識者から積極的に意見を聞くべきだろう。そうした姿勢で組織の多様性を向上し、競争力の強化につなげる企業が多く出ることを期待したい。
(2020/5/11 05:00)
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