(2020/6/29 05:00)
新型コロナウイルス感染症はテレワークの可能性を開いた。都市部の感染リスク回避と合わせて、東京一極集中是正の機運が高まっている。地方創生につながる問題でもあり、活発な議論を期待したい。
東京都の5月1日時点の推計人口が初めて1400万人を突破した。2000年に1200万人、09年に1300万人を超え、コロナ禍においても東京一極集中が進んでいる。
東京一極集中の弊害はかねて指摘されてきた。首都直下地震などの災害リスク増大や生活環境の悪化などが懸念され、一方で地方の担い手不足を招く。安倍晋三政権は、地方創生を掲げ是正に取り組んできたが、成果は示せないままだった。
現下のコロナ禍を機に、是正の機運が高まっている。経済財政諮問会議で、経団連の中西宏明会長ら民間議員が感染症対策と経済活動の両立に向けて「デジタル化などの社会刷新を加速する必要がある」と提言。都市部での感染リスク回避へ、東京一極集中のあり方を変える必要性に言及した。
経済同友会も新型コロナ問題への意見書で、地方創生の加速と東京一極集中の是正を掲げ「企業はテレワークとサテライトオフィスの積極的な展開に努めるべきだ」と提言した。桜田謙悟代表幹事は「ある機能を地方にそのまま移転しリモートで行うこともできる」と指摘する。
19年12月に政府がまとめた第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でも、時間と場所を有効活用する柔軟な働き方としてテレワークが挙げられている。地方にサテライトオフィスを開設すれば、企業の事業継続計画(BCP)の観点からも有効だ。地方経済にもプラスに働く。内閣府が21日に公表したコロナによる行動変化の調査結果でも、東京23区在住の20歳代若者の35%が「地方移住への関心が高まった」と回答するなど、意識の変化も明らかになった。
東京一極集中は大企業が東京に集中していることが要因とされる。政府の施策とともに、民間企業が一歩踏み出す積極的な決断を期待したい。
(2020/6/29 05:00)
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