(2020/7/8 05:00)
新型コロナウイルスとの共生や収束後の時代を支える、革新的な製品やサービスを創出するスタートアップの成長を後押ししたい。
2014年頃から第4次スタートアップブームが始まり、19年のファンド総額は、4200億円超(INITIAL調査)と過去最高になった。だがコロナ禍を契機に投資先の選別は厳格化しつつある。「玉石混淆(こんこう)の玉にしか投資が回らなくなる」とブームの終焉(しゅうえん)を予想するアナリストもいる。
災禍はビジネス創造の好機にもなる。中国では重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行が、電子商取引アリババを躍進させた。リーマン・ショック後の不況下では、民泊仲介サービスのエアビーアンドビーや配車サービスのウーバー・テクノロジーズが急成長を遂げている。コロナ禍がもたらした社会・経済変革の重要性を踏まえると「大化け」するスタートアップが出現する可能性は高そうだ。
経済産業省は、国内ベンチャーキャピタル(VC)の投資余力は2000億円以上あるとみる。8日には産業革新投資機構の傘下に民間投資を補完するVCが誕生する。民間VCでは対応できない大型投資を要する創薬などのスタートアップ支援が目的で、優れた技術やアイデアを持つ課題解決型のスタートアップに資金を供給し、成長を促す一助とする。
本年度は「コロナ関連銘柄」のスタートアップなどを対象に、オンラインと対面を組み合わせ、大企業とのマッチング機会の提供に力を入れる方針だ。顧客開拓の機会を広げるとともに、大企業の生産設備や販路を活用しやすくするなど多様な効果を狙っている。政府や自治体にはスタートアップの製品やサービスを調達するなど、より踏み込んだ支援を期待したい。
経産省肝いりのスタートアップ支援プログラム「J―Startup」の選定139社のうち、約72%が東京に集中する。コロナ禍の教訓である大都市圏の過密状態を緩和するためにも、地方の優良スタートアップの育成が急がれる。
(2020/7/8 05:00)
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