(2020/9/4 05:00)
1959年(昭34)9月26日の夕刻、紀伊半島に上陸した「伊勢湾台風」は、台風災害として明治以降最悪の死者・行方不明者数5098名を出した。高潮被害に見舞われた三重、愛知の被害は特に甚大だった。
政府は、この台風を契機に「災害対策基本法」を制定。省庁や自治体ごとにばらばらだった災害対策を、一元的に対応する体制を構築した。これが現代の防災対策につながっている。
伊勢湾台風に匹敵するとされる規模の台風10号が、6―7日にも沖縄や九州に最接近・上陸する懸念が出てきた。気象庁は「最大級の警戒が必要」と警告する。上陸の恐れのある地域は暴風雨への備えが必要だ。豪雨は全国に及ぶ危険もある。
事前の準備が重要だ。ハザードマップで自宅や事業所周辺のリスクを確認しよう。新型コロナウイルス感染症対策で、避難場所が変更になっているところもある。自身や家族に適切な避難場所を今のうちに検討したい。
伊勢湾台風のエネルギー量は1936年の室戸台風より小さかったのに、人的・物的被害は甚大だった。風水害を予測することは難しい。いまだ7月の豪雨の傷跡が残る九州などの被災地に、新たな被害が生じないよう祈る。
(2020/9/4 05:00)