産業春秋/コロナ論文数が語る

(2020/12/28 05:00)

科学技術立国として衝撃的な数字だ。学術雑誌などに掲載された日本の新型コロナウイルス感染症の関連論文は、世界16位の947本(2020年12月8日現在)と、先進7カ国の中で最下位にある。

論文の動向を分析している科学技術振興機構(JST)によると、トップは米国の1万5622本が圧倒的で、2位は中国の6774本。以下、英国、イタリア、インドの順で続く。

感染者数の多い国が論文数でも上位にくる傾向にある。日本の場合は感染症や公衆衛生の研究者が相対的に少ないことが影響しているとみられる。言葉の壁もあるのか、欧米に比べ他国との共著が少ないのも心もとない。

コロナ禍は科学技術の衰えを露呈することになった。競争的資金の拡大に伴い、基礎研究が進めにくくなり、「促成栽培型」の研究が重視されるようになる。感染症研究が手薄になったのも、目先の効率を優先した政策が背景にあるとみる専門家もいる。

感染症対策は、医工連携など異分野融合のチームをいつでも編成できるようにしておく必要がある。喉元過ぎれば熱さを忘れる、にならないよう、コロナ収束後も未知の感染症に備えて平時から研究環境を整えておきたい。

(2020/12/28 05:00)

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