(2021/2/10 05:00)
自由と平和を守るためには、多角的な取り組みが必要だ。
米バイデン大統領は、就任後初めての外交政策演説で「中国は最も重大な競争相手」と指摘した。同時に「同盟国や友好国との協力を通じてさまざまな課題を解決する」と述べた。「米国第一主義」を掲げ、同盟との関係を軽視したトランプ前政権との違いを鮮明にし、日英独仏韓などの同盟国との関係重視を強調した。
一方でバイデン大統領は「米国の利益になるなら中国政府と協力する用意はある」とし、気候変動問題などでは連携する必要性も示した。
米中の対立に変化の兆しが見えてきた。米国が同盟重視を掲げるのは日本にとって朗報だ。中国の経済的・軍事的台頭によって東アジアの安全保障が揺らげば、日本は米国以上に大きな影響を受ける。それを避けるには対立を強めるのではなく、多様なアプローチを模索しなければならない。
そのひとつが環太平洋連携協定(TPP)である。アジア太平洋域内にレベルの高い自由貿易圏があることは、直接・間接に中国のけん制に役立つ。
成果はすでに現れている。英国はTPPに正式に加盟を申請した。実現すれば世界経済における参加国の国内総生産(GDP)シェアが高まり、より自由貿易を主導できるだろう。
また日英の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で「自由で開かれたインド太平洋」実現への協力関係を再確認した。この地域の経済的魅力が英国を引き寄せ、それが地域の安定につながる結果となる。日本としてはこの流れを加速させるとともに、米国のTPP復帰と韓国・台湾の加盟への足がかりにしたい。
尖閣諸島周辺での中国公船の動きや香港における民主化運動の弾圧など、中国の最近の活動には国際社会の批判が集まっている。しかし軍事的対立の先鋭化や経済面での国際包囲網の形成だけが対策ではない。「開かれたインド太平洋」戦略と対話を通じ、中国を国際的な枠組みに招き入れていく努力を続けていかなければならない。
(2021/2/10 05:00)
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