(2021/3/2 05:00)
政府が推進する「GIGAスクール構想」は次代の日本を担う子どもたちの将来を築く重要な施策だ。児童生徒1人1台端末の配備などのインフラ整備が急がれるが、肝心なのはそこから先の運用である。産学官の連携で成果を生み出したい。
GIGAスクール構想はパソコン、タブレットなどの情報端末と高速大容量の通信ネットワークの整備を通して「公正に個別最適化された創造性を育む教育」を全国の学校現場で持続的に行うことを指針とする。
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、すでに前倒しで進行中。3月末までに全国小中学校で端末の配備を完了させることが当面の焦点となっている。2021年度からは高校への配備も進む。
インフラ整備と同時に急がれるのは、デジタル教材などのソフトウエア面の充実やICTを使いこなせる教師を育てる指導体制だ。コロナ対応に忙殺される教師にとって、デジタル教材の活用は負担となっている。
その一環として、政府は緊急時においても生徒の学びを保障する学習オンラインシステムの構築や、その入り口となる「学習eポータル」の仕様化などを打ち出している。
これに呼応して、ICTベンダーや教材業者が動きだしている。NECやNTTコミュニケーションズなどはいち早く教育クラウドを提供。教科書販売の日教販(東京都文京区)は、既存の学習教材とデジタル教材をそろえ、「紙とデジタルで分け隔てなく提供できるようにする」という。
GIGAスクール構想では授業の準備や成績処理などの負担軽減に向けて、校務のクラウド化も推奨している。将来的には教師の働き方改革という観点での相乗効果も大きい。
教育のデジタル化の進展に伴って、地域格差や教育機会の平等などのさまざまな問題が浮かび上がってくるのは必至だ。一朝一夕には解決しないが、教育のデジタル化の先にある日本の未来を見据え、産学官の知恵を結集してGIGAスクール構想の推進を加速すべきだ。
(2021/3/2 05:00)
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