(2021/3/4 05:00)
世界的に石炭火力には厳しい視線が注がれる。東日本大震災直後に全国の原子力発電が稼働を停止した時に、日本のエネルギー供給は石炭と天然ガス火力が担った。そしてその状況が10年間続いている。
石炭は石油・天然ガスより安価で産地が偏在せず埋蔵量も豊富。途上国のエネルギー需要を賄い、経済成長に資するためにも、石炭をクリーンに使える技術開発が先進国の責務とも言える。
日本は発電所の煤(ばい)じん対策や発電効率に優れ、最新の石炭ガス化複合発電でも先頭を走っている。石炭のクリーン技術に秀でた日本が世界を先導するという道も当時は考えられた。
誤算の一つは二酸化炭素(CO2)地下貯留の実用化の遅れなど、脱炭素技術が思うほど進まなかったこと。いや予定通りなのかもしれないが、それ以上に世界の脱炭素の潮流が早かった。
CO2の貯留は、地下構造の解明がカギになる。世界で適地探しが活発化し、豪州の炭鉱や米国のシェールオイル掘削跡が候補地とされる。それらに比べて日本は開発への力の入れ方が足りない気がする。そもそもCO2発生源の化石燃料は地下から頂いた恵み。謙虚に全体像を解明することから始めてはどうか。
(2021/3/4 05:00)
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