(2021/5/19 05:00)
生産や輸出の改善で持ち直しが期待された日本経済は、緊急事態宣言の延長や対象範囲の拡大で活動制限がかかり、立ち直りのきっかけを見いだせずにいる。二番底回避へ、従来にも増した対策に総力を挙げて取り組まねばならない。
内閣府が18日に発表した2021年1―3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比1・3%減、年率換算で5・1%減と3四半期ぶりのマイナス成長となった。年明けに2度目となる緊急事態宣言の発令で、外出自粛や営業時間短縮で個人消費が大きく落ち込んだことが主因。これにより20年度のGDPは前年度比4・6%減と戦後最悪レベルに終わった。
21年1―3月期は海外経済の持ち直しで輸出が増加したことはプラス材料。半導体の調達難から自動車輸出には陰りがみられるが、電気機械や一般機械が堅調を維持した。
4―6月期も悲観的にならざるを得ない。4月下旬に4都府県に3度目の緊急事態宣言が出され、5月中旬には対象地域が拡大された。今回は大型商業施設の休業・営業時間短縮など活動制限が強化されており、個人消費は大きな打撃を受ける見込み。1―3月期に続きマイナス成長となる可能性が大きい。
伸び悩む日本経済をよそに、米国は1―3月期GDPが年率6・4%増で3期連続のプラス成長となった。巨額の財政出動を伴う大型の追加経済対策に加えて、ワクチン接種の加速で行動制限が緩和され、個人消費が前期比10・7%増と記録的な伸びとなった。EUもワクチン接種が進み4―6月期はプラス成長を見込む。先進国で日本だけが取り残される事態が顕著になっている。
コロナ禍で不振にあえぐ日本経済を活性化するには、ワクチン接種の加速化で感染拡大を抑え込むことが何より重要だ。高齢者に続き、接種対象のすべての国民が年内に接種を完了させる必要がある。同時に休業や時短を強いられる業種には、規模に応じた支援金や協力金の拡充で、倒産や失業の抑制に努めてもらいたい。
(2021/5/19 05:00)
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