(2021/7/28 05:00)
政府は2020年度予算で未執行の30兆円超を21年度予算に繰り越す。20年度に3回編成した補正予算約73兆円のうち約4割を使い残していた。30兆円もの繰り越しは過去最大規模になる。コロナ禍対策となるこの巨費の早期執行はもとより、追加の経済対策も視野に国内景気の下支えを政府に求めたい。
未執行の予算は、営業時間の短縮に応じた飲食店などに支給する協力金の原資となるものだが、煩雑な事務作業が執行を遅らせたという。中小・小規模事業者に必要な資金が行き届いていない現状は、早急に是正する必要がある。新規感染が収束どころか拡大している現状下、経営が正念場を迎えている事業者も少なくない。
未執行予算の早期執行に加えて、新たな経済対策も臨機応変に講じてもらいたい。日本の景気回復力は弱く、株価も4月以降は頭打ちの状況が続いている。ワクチン接種が進む海外の景気回復を追い風に、日系企業の輸出と設備投資は増えている。だが、けん引役は自動車や半導体関連などの製造業にとどまり、産業の約7割を占める非製造業と明暗を分けている。内需は“巣ごもり需要”だけでは限りがあり、外需に過度に依存する足元の日本経済には危うさがつきまとう。
個人消費は国内総生産(GDP)の過半を占める。政府見通しによると、21年度の実質GDPへの内需寄与度は1月の試算で3・3%だったが、7月には2・5%に下方修正。逆に外需寄与度は0・7%を1・2%に上方修正しており、長引くコロナ禍が内需停滞を招いている。
政府は消費に直結する飲食・小売業への一層の支援や、ポストコロナを見据えた成長戦略に資する21年度補正予算案の編成を視野に、経済財政運営に臨むことが期待される。無論、ワクチンの確実な調達と接種の加速が景気回復の大前提になる。
政府・与党は今秋に総選挙を控え、大規模な経済対策も自民党内でささやかれている。歳出にメリハリを付けるなど財政規律を守りつつ、早期の経済正常化を目指したい。
(2021/7/28 05:00)
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