産業春秋／スニーカー店のＭ＆Ａ

今夏、その趣味を持つ人が「おっ」と目を引くＭ＆Ａ（合併・買収）があった。米スポーツ用品販売大手のフットロッカーが、日本を中心に世界で約５０店のスニーカー専門店「アトモス」を持つ日本企業を約４００億円で買収することを決めた。

北米などで約３０００店を抱えるフットロッカーは今回の買収を機に日本やアジア市場強化を狙う。興味のない人には一切関心が向かない領域だが現在はスニーカーブーム真っただ中だ。

特に人気なのは米大手スポーツメーカー、ナイキが発売する往年の名バスケットボール選手、マイケル・ジョーダンの名を冠した商品。以前は店頭に大行列ができ、オンライン販売中心に切り替わった今も発売の瞬間に即完売の表示が出る。

生産数が少ない人気商品は瞬く間に価格も高騰。投機目的の転売サイトでは１足１０万円超も珍しくない。スニーカー収集はマニアの趣味からビジネスへと表情を変えている。

ビジネスカジュアルやリモートワークの浸透でスニーカーを仕事で使う場面が増えた。ただ貴重なスニーカーも新品のまま１０年寝かすと湿気に触れるのが避けられず、素材のポリウレタンなどが劣化する。靴は消耗品。履いてこそ価値を生む。