(2021/9/30 05:00)
「成長なくして分配なし」という持論の実現にまい進してもらいたい。
自民党新総裁に岸田文雄前政調会長が選出された。岸田総裁は、10月4日召集の臨時国会で第100代内閣総理大臣に指名され、岸田内閣を発足する。
新政権がまず手がけるべきは、新型コロナウイルス感染症対策と傷ついた経済の再生だ。冬の感染再拡大を見据え、医療体制の整備・強化を急ぎ、必要なら法改正にも着手すべきだ。
岸田氏は総裁就任後の会見で、新しい資本主義の構築と中間・低所得層の所得改善を掲げた。年内に数十兆円規模の経済対策をまとめ「成長と分配の好循環を図る」という。分配策として、大企業と中小企業の格差是正、看護師や介護士の処遇改善に取り組む考えも示した。
中間層の底上げは成長に不可欠だが、実現への道筋が明確でなければ画餅に終わる。デジタルやグリーンを重視した成長戦略を着実に進め、分配のパイを大きくする具体策を求めたい。
外交面では米中対立が世界経済を揺るがしている。経済安全保障と自由貿易をどう両立させるのか。日本の立ち位置は重要だ。環太平洋連携協定(TPP)に加盟申請した中国への対応が試金石となる。外相経験者である岸田氏の知見が問われる。
今回の総裁選は、派閥の支持を越えて4人の候補が政策を争った。本来の総裁選のあるべき姿であったと言えよう。中でも決選投票で敗れた河野太郎行政・規制改革相が打ち出した最低保障年金は、若者世代の年金への不信感を浮き彫りにした。岸田政権においても、現行制度で指摘される不公平さや不安を解消する方策を示す必要がある。
残念なのは、エネルギー政策の議論で、再生可能エネルギーと原子力発電が対立軸のように扱われたことだ。脱炭素や安定供給を考えれば、どちらも欠かせない電源なのは明らかである。原発の新増設を含めて方向性を議論してほしい。
次は総選挙で国民に信を問う番だ。与野党が国民が未来に展望を持てる政策を提示し、競い合うことを期待する。
(2021/9/30 05:00)
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