(2021/10/21 05:00)
今冬は季節性インフルエンザが大流行する恐れがある。新型コロナウイルスが同時流行する「ツインデミック」を危ぶむ研究機関もある。行政はコロナが小康状態のうちに防疫・医療体制を強化したい。
前季はインフル流行が懸念されたものの、コロナ感染第3波と重なりインフル感染者は極めて少数にとどまった。マスク着用、手指消毒、3密回避、行動自粛などのコロナ対策がインフルの予防にも効果を上げたとみられる。
「ウイルス干渉」の可能性を挙げる専門家もいる。コロナに感染すると感染を抑制するたんぱく質「インターフェロン」の分泌が促され、インフルに感染しにくくなったと推測される。
2021年もインフルの流行期にあたる南半球では感染者は極めて少ない。だがインフルは特定の季節に流行するとは限らない。亜熱帯地域のインドやバングラデシュでは、夏季に流行が認められている。
日本感染症学会は「国境を越えた人の移動が再開されれば世界中へウイルスが拡散される懸念がある」と警鐘を鳴らす。米国の研究機関の中には「ツインデミックになる可能性が高い」と注意喚起するところもある。
前季に感染が軽微で済んだ日本は、集団免疫が形成されていない。このためウイルスが海外から持ち込まれれば大流行につながる危険性があり、検疫体制のさらなる強化が求められる。
コロナ感染者の急減で気が緩みやすい時期だが、インフルの重症化にも注意が必要だ。厚生労働省の統計によると、コロナ前の18年と19年はインフル原因死が3000人を超えている。
厚労省はインフルのワクチンについて例年の使用量は供給されるとみているが、接種希望者が例年を上回れば品薄に陥る危険性もある。不活化ワクチンのため、すぐに増産はできない。
公衆衛生の専門家は「コロナ対策の励行がインフル対策になる」と助言する。国や自治体はワクチンや治療薬の供給体制を整え、ツインデミックにも耐えられる重症患者用病床を確保するなど万策を尽くしてほしい。
(2021/10/21 05:00)
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