(2021/10/27 05:00)
大阪でも国際金融都市構想が動きだした。しかし国際金融都市としての大阪の世界ランクは低く、ハードルは極めて高い。拙速を避けつつスピード感を持って取り組まねばならない。
大阪府・市や経済界でつくる「国際金融都市OSAKA推進委員会」は9月、戦略骨子を発表した。本年度末に最終案をまとめる。7月に公表された「国際金融都市・東京」構想の改訂版との共通テーマもあるが、差別化を図ろうという意図はうかがえる。
戦略策定の趣旨で「独自の個性・機能を持つ国際金融都市を形成し、東西二極の一極としてさらなる飛躍につなげる」と強調した。「骨子」では13の柱を掲げているが、東京案と異なるのはイノベーションやスタートアップの成長に言及していること。国内外からの投資を呼び込むためデジタル証券を活用した資金調達(STO)などの新しい手法を活用すべき、としている。一方東京を補完する取り組みとして金融機関の事業継続やデュアルオペレーション拠点の設置やデータセンターの誘致なども提唱している。
戦略骨子の13の柱はそれぞれ重要なテーマだが、総花的な印象が拭えない。大阪は言うまでもなく第二の都市であり、先物取引のパイオニアである堂島米市場の存在もあった。それなりに魅力的な市場だが、それだけではカネやヒトを呼び込むのは難しい。戦略骨子では目標年度を2050年としている。
諸外国で評価の高い金融特区はおおむね10年の歴史がある。条件は異なるが、目標が30年後というのは少し悠長ではないか。重点取り組みでも指摘されているが、大阪には金融分野における高度人材が決定的に不足している。金融リテラシーが高いとは言いがたい。また高度外国人人材を呼び込むインフラも不十分だ。ビジネス環境の整備は喫緊の課題だ。
しかし活路はある。骨子でうたわれる「サステナブルファイナンスの先進都市」を目指すことだ。ESG(環境・社会・企業統治)投資は急拡大しており、チャンスは十分にある。
(2021/10/27 05:00)
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