(2022/1/13 05:00)
東アジアの安全保障上の緊張に対処するためには、米国を軸とした同盟関係を強化し、技術面での不足を補うべきだ。
日米両政府は、外交・防衛担当相による「2プラス2会合」の共同文書で、中国や北朝鮮が開発中の極超音速ミサイル技術に対抗する共同分析などの項目を盛り込んだ。実際に北朝鮮がミサイルを発射したことで、脅威は現実のものになった。
極超音速ミサイルは自衛隊の現在の防衛網では迎撃するのが困難で、米などの技術に頼らざるを得ないのが実情だ。ミサイルだけでなく、人工知能(AI)や飛行ロボット(ドローン)、サイバー空間での破壊活動などの最新技術の開発も日進月歩で進んでいる。
中でも中国の軍事技術の向上には目を見張るものがあり、もはや米国においても対処が難しい領域に入りつつあるという見方がある。陸海空に宇宙やサイバー空間を加えた多次元空間の未来戦争では膨大な情報を瞬時に分析、判断する能力が求められるが、この分野では日本は劣後している。
先に日本の大手電機メーカーが中国で大規模な不正アクセス攻撃を受け、安全保障に影響のあるファイルが流出した。この問題の調査では、防衛装備品とは無関係な中国の拠点がサイバー攻撃を受けたと報告されている。こうした武器を使わない“新たな戦争”は、残念ながらすでに始まっているのだ。
民生・軍事技術の垣根がなくなりつつある。欧米諸国は民主主義や国際ルールを守る国との技術同盟強化に動いている。日本もこの中に加わり、最新のセキュリティーや防衛装備に必要な情報を蓄積していく必要があろう。ただ日本では重要情報の漏洩に対する罰則すら国民の理解が十分に得られておらず、体制整備が遅れている。
ほんの一例だが、ステルス戦闘機は従来の戦闘機の数十倍もの性能がある。ゲームチェンジャーと呼ばれる次世代技術は一国で開発することは困難だ。産業界と協力しつつ、米国など各国と連携を強化して平和と安全を守ってほしい。
(2022/1/13 05:00)
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