(2022/2/9 05:00)
限られた防衛費の効率的な運用に加えて、開発期間の短縮や早期配備にも民間の協力は不可欠だ。
最新技術を利用した次世代型武力衝突は、従来の戦闘の姿を大きく変える「ゲームチェンジャー」に左右される。サイバーセキュリティーや人工知能(AI)などの新領域分野以外でも無人機との連携や衛星通信の活用、高出力レーザー、ロボットなどさまざまな要素を含む。膨大な新技術の開発に、防衛省だけで対応することは不可能だ。
このため防衛省は、AIやサイバーの新領域で民間人からの任期付き職員の募集を加速している。募集しているのは、サイバーセキュリティー人材が「統括アドバイザー」、AIは「データ分析官」。民間との人的交流に大きな期待が寄せられていることが分かる。
こうした高度情報人材は、世界のどの国にとっても貴重な存在だ。「GAFA」などの世界大手は日本企業の役員クラス以上の高い年俸を提示し、優秀人材や学生の囲い込みを図っている。同様の動きは日本企業でもあるが、年功序列や社内調和の壁に阻まれ、うまく進んでいないとされる。
一方、最新技術分野で働く人材の志望動機は給料ばかりではない。現在の職場や仕事では自分の能力を発揮できないと考える技術者も大勢いる。そうした要望を吸い上げ、活用できる仕組みを整えることが重要だ。
防衛省の任期付き職員となって「国の役に立つ」仕事を果たすことに働きがいを感じる人も多かろう。ただ任期終了後の生計をどうするかなど現実的な悩みもある。
高度情報人材に、日本的な生涯雇用が適しているかどうかを考え直す必要もあろう。GAFAなどはプロジェクト単位や年限を限って優秀な人材を確保する方策を模索している。日本でも、こうした雇用形態が一般化すれば国の任期付き職員も募集がしやすくなるだろう。
防衛技術は安易に外国に頼れない。まずは国内の関連人材を集めて、ゲームチェンジに挑んでもらいたい。
(2022/2/9 05:00)
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