(2022/2/15 05:00)
コロナ禍で健康への関心が高まっている。人材の代替が効きにくい中小企業は健康経営を深化させる契機にしたい。
経済産業省の健康経営優良法人認定制度は、社員の健康づくりを推進する動機付けになりそうだ。認定企業は増加を続け、2020年度は中小規模法人部門で7934社が認定された。
ロボット部品製造の中島製作所(愛知県安城市)は19年に認定を取得。仕事の平準化で毎月の時間外労働時間を40時間以内とし、定期検診で2次検査が不要な社員に「健康手当」を支給する制度を導入した。
毎年連続更新すると支給額が年数に応じて増える仕組み。健康を維持できれば残業代の減収分を補い年収アップになる。2割弱の生産性向上と不良率の低下にもつながっているという。
勤務問題に起因する自殺者の割合が増加傾向にある点は留意したい。20年の自殺者数は11年ぶりに増加。21年(速報値)は2万830人と前年比で251人減少したが、コロナ前の19年より661人増えている。
在宅勤務などリモートワークが長期化している企業では、社員が孤独感を抱き、精神面で不調をきたしやすい時期にあたる。感染防止とともに心の健康管理にも丁寧な対応が必要だ。
心理カウンセラーの業界団体、全国心理業連合会の浮世満理子代表理事は「心の距離を縮めるには社内のコミュニティー活動が有効」とみる。オンラインによるランチ会など雑談の場づくりを企業に提案している。
NPO法人自殺対策支援センターライフリンクの清水康之代表は、健康経営を中小企業へ広げるには「国や自治体の政策誘導がカギ」と説く。健康経営に積極的な企業には初期投資の補助や公共調達での優遇措置など支援策を講じる必要があろう。
労働力人口の減少が続く中で健康経営は中小企業の持続的な成長に欠かせない。生産性や創発力を高めるだけでなく、取引先や金融機関、学生などのステークホルダーに活動を可視化することで企業価値の向上が図れる。経営者は企業の足腰を鍛える「投資」ととらえたい。
(2022/2/15 05:00)
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