産業春秋/文庫本の個性

(2022/3/17 05:00)

一般に流通する文庫本は数十レーベルあり、本文用の紙には出版社のこだわりがうかがえる。文庫によって厚みや色味が違う。1冊の中で紙の高さがバラバラなものもある。

文庫本は手ごろな価格で買えるのがいいところ。しかし時代を反映してか、紙媒体需要が細る中で“台所事情”を表す動きが起こっている。

中央公論新社、角川春樹事務所、河出書房新社、筑摩書房が王子製紙と、文庫本用紙の共通化をスタートした。各出版社は独自の用紙で色調、厚み、手触りの特徴を出してきた。しかし汎用紙と比べ安定的な調達が課題で、用紙メーカーは生産時の紙替え、品質管理、多様な在庫が負担だった。

文庫本市場は2014年から年率5%超のマイナスが続いたが、20年は3・8%減。コロナ禍の巣ごもり需要の影響だが、それでも販売額は約867億円で06年の約6割どまり。

出版用紙は量産から多品種少量、そして銘柄統廃合に向かう。「最初の共通化提案から10年弱かかった」とは王子製紙の担当者。途中まで共通化の協議に参加したが「時期尚早」と見送った社もある。紙の統一によるコスト低減か、独自性へのこだわりか。読者が気になるのは何より作品の中身だろう。

(2022/3/17 05:00)

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