宮城・福島地震／福島県内企業 企業動静

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半導体の材料になるフォトレジスト（感光性樹脂）や高純度化学薬品を製造する東京応化工業の郡山工場（福島県郡山市）では、製品の検査に使う装置の一部が停止し、再起動のための点検作業に追われた。生産設備には被害がなく、操業を続けているものの、生産ペースがふだんより落ちている可能性があるという。ただ在庫の出荷には問題がないとしている。検査装置の復旧が遅れた場合は、他の工場にある装置で代用する考えだ。

福島県国見町で電子機器部品や半導体モジュールの開発、量産組み立てを行う国見メディアデバイス（ＫＭＤ、福島県国見町）では人的被害は無かったが、空調機器の不具合や生産設備のズレが発生した。詳細は調査中。岡村直之社長によると「昨年の地震より揺れは大きかったが、昨年の地震対策により被害は少ない」という。電気やネットインフラは復旧済み。

震度６強を記録した福島県浜通り地域では石炭ＩＧＣＣ（ガス化複合発電）がある勿来ＩＧＣＣパワー（福島県いわき市）の勿来ＩＧＣＣ発電所（５４万キロワット）と、広野ＩＧＣＣパワー（同広野町）の広野ＩＧＣＣ発電所はいずれも影響がなく、通常通り操業している。常磐共同火力の石炭火力７―９号機も、点検中の８号機を除く７、９号機（計６４万キロワット）に異常は見られない。市内で酸化チタンやバリウム、電子材料などを生産する堺化学工業の小名浜事業所（福島県いわき市）と大剣工場（同）は「細かな被害はあったが、操業に支障をきたす影響はなかった」（同社）という。ラジアルピストンモーター大手の常磐製作所は、「加工機械が若干地震で動いた」（同）が、操業に影響はない。廃棄物処理工場を運営するクレハ環境も廃棄物処理工場の操業に被害は出ていない。

堺化学工業は１７日朝の時点で、福島県いわき市にある小名浜事業所、大剣工場、湯本工場、いずれにも地震による大きな損害は見当たらず、安全を確認でき次第、順次操業していく方針だ。

第一工業製薬子会社で蚕や桑の機能性を研究するバイオコクーン研究所（盛岡市）と、健康補助食品などを生産する棚倉工場（福島県棚倉町）は地震による被害はなく、通常稼働している。

日本ドライケミカル福島工場（福島市）では、物品の散乱が多少あったものの、生産への影響は出ていない。部品棚や製品などの固定を徹底していたため。サプライチェーン（部品供給網）の状況については運送会社に問い合わせしている状況。

渡辺電機工業（東京都渋谷区）は福島工場（福島県桑折町）の生産設備に弱冠の被害が出たが、既に復旧した。物流や調達への影響に関する情報はまだ確認できていない。

冨士ダイスの郡山製造所（福島県郡山市）では、東日本大震災以降、大きな機械にアンカーを打つなど、機械設備が倒れたり精度に狂いが出ないよう事業継続計画（ＢＣＰ）対策を施してきたため目立った被害がなかった。物流や調達への影響に関する情報はまだ確認できていない。

シャフトメーカーのＹＳＫ（大阪府八尾市、石川直人社長）は東日本の生産拠点である「福島工場」（福島県白河市）で特に被害はなく、通常通り稼働している。

田口型範（埼玉県川口市、田口脩一郎社長）は、震度６弱の揺れを観測した福島県二本松市に工場を置いているが、設備や建屋などに被害はなく、通常通り稼働している。田口順会長は「機械はアンカーボルトで床に固定しているものが多いため、被害がなかったのではないか」としている。