(2022/3/29 05:00)
産業用ロボットとは異なる視点で開発に取り組むことが求められる。
外食や食品分野でロボットの導入が進んでいる。特に目立つのは、自動化した食品工場で稼働する高度なロボットではなく、配膳や盛り付けなどを担当するサービスロボットの台頭である。この分野では、残念ながら中国製が圧倒的だ。
中国製ロボットの優位性は、なんといっても低価格であることだ。例えば外食産業で客席に皿を運ぶ配膳ロボットの場合、国産品の価格はおおむね300万円以上。これに対して中国製は100万円前後のものも珍しくない。
細かい動作や機械性能は日本製の方が優れていることも多い。しかし価格の優位性がそれを上回っているのが実情と言えよう。「システムを開発しても500万円以上しては到底、購入してもらえない。費用を下げるには中国製や台湾製を使うしかない」と、SIer(システム構築事業者)は嘆く。
外食企業やホテルはコロナ禍で打撃を受けている。簡単な調理や配膳はパートタイムや外国人労働者などに頼り、コストを抑えているケースが多い。サービスロボットは、それらとの価格競争になる。
製造現場で使うハンドリングロボや溶接ロボは、熟練工に匹敵する作業が可能だ。外食や調理向けのロボットの場合、精度やスピードよりも、安全性や清潔さが重視される。また弁当の製造ラインなどで人と並んで作業する協働ロボットは、現場作業者が指示できる操作性が求められる。製造業向けとは別の開発視点が不可欠だ。
外食や食品向けは市場規模が小さく、ロボットメーカーにとって魅力がないということがしばしば言われる。しかし、同じ市場で中国企業が成功している現状を見過ごすことはできない。「価格ありき」で性能を抑えたモデルを開発する姿勢を、日本企業も見習わなければならないだろう。
製造業で築いた〝ロボット大国・日本”の座を、サービスロボット分野でも目指したい。
(2022/3/29 05:00)
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