産業春秋／プーチン大統領、相次ぐ「誤算」

ウクライナ侵略をめぐり、プーチン露大統領の「誤算」が相次いでいる。北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の勢力拡大を阻止するためのウクライナ侵略が、フィンランドとスウェーデンのＮＡＴＯ加盟を促す皮肉な現象を誘発している。

ロシアと１３００キロメートルの国境を接するフィンランドは軍事的中立を守ってきたが、ロシア軍による民間人を含む残虐行為で「全てが変わった」（フィンランドのマリン首相）。加盟申請を数週間以内に判断するという。

スウェーデンもＮＡＴＯ加盟を検討する。両国が加盟すればロシアはＮＡＴＯとの緩衝地帯を失う。またウクライナのほかモルドバ、ジョージアも欧州連合（ＥＵ）への加盟を申請中。

ロシアの想定を超えたウクライナ軍の抵抗、ロシア軍の士気低下、日米欧による経済制裁での結束、制圧が必要なほど頻発したロシア国内の反戦デモ。どれもプーチン大統領には誤算だった。

ウクライナのゼレンスキー大統領は１７日、国際通貨基金（ＩＭＦ）のゲオルギエバ専務理事と戦後復興への準備について電話会談した。荒廃した国土の復興に向かう日を一日も早く迎えたい。今後の戦況もプーチン大統領の「誤算」となることを祈るばかりだ。