(2022/6/29 05:00)
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が30日までスペイン・マドリードで開かれる。行動指針「戦略概念」を12年ぶりに改訂し、採択する。ロシアとともに、中国の脅威に対してもNATOが立ち向かうことを初めて盛り込む見通しだ。欧州にとどまらず、インド太平洋での安全保障上のリスクも西側諸国が共有する意義は大きい。
日程は28―30日。ロシアによるウクライナ侵略の長期化を受け、NATOはウクライナ軍の近代化に向けた包括的軍事支援策をまとめる。旧ソ連時代の装備を最新式に移行し、長期戦に備える。併せてNATOは欧州東部の即応部隊を現在の約4万人から30万人に大幅増強し、対ロ包囲網を広げることも協議。NATOのストルテンベルグ事務総長は「冷戦以降で最大の集団防衛と抑止力」だと語る。
パートナーとして招かれる日本、韓国、豪州、ニュージーランドも含め、対ロシアへの圧力強化で結束を強化したい。
ウクライナのゼレンスキー大統領は先進7カ国(G7)首脳に年内の戦争終結に向けた軍事支援を求め、米国は最新防空ミサイルを供与する方針を伝えたという。G7サミットで合意されたロシアへの追加経済制裁を含め、早期終戦が待たれるが、ロシア軍によるウクライナ民間人への無差別攻撃が続く。先行きは見通しにくく、西側諸国の支援の継続が求められる。
フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対するトルコと米国の首脳会談も予定されているという。ただ会期中の合意は困難視されているようだ。
日韓や豪州などの首脳がNATO首脳会議に招かれたのは安全保障上の脅威が欧州からインド太平洋に拡大し、中国の軍事増強はNATOも看過できないためだ。日本の首相として初めて出席する岸田文雄首相は「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は世界のどこであっても認められない」と訴える。
NATO首脳会議で中国を取り上げるのは今回が初めて。参加国は台湾有事リスクを共有し、中国への抑止力を強めたい。
(2022/6/29 05:00)
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