(2022/6/28 05:00)
日本は“綱渡り”を続ける電力供給のあり方が問われる転換点に立っている。再生可能エネルギーや原子力発電所のあり方が果たして適切なのか、参院選の争点でもある電源構成を議論し直し、エネルギーを安定供給できる体制の整備を進めたい。
経済産業省は27日、全国初の「電力需給ひっ迫注意報」を26日に東京電力管内で発令したのに伴い、家庭・企業に15―18時の節電を呼びかけた。想定外の猛暑に見舞われ、節電により停電を回避するという電力供給力の脆弱(ぜいじゃく)性を露呈した。注意報は28日も継続する。
電力供給の余力を示す予備率が5%を下回ると予想された時に前日に発令される「注意報」と、同3%を下回ると予想された時に発令される「警報」。これから何度、注意報や警報が発令されるのか、生活や企業活動に影響を及ぼすだけに景気の先行きも懸念される。
電力需給は夏より冬が逼迫(ひっぱく)するとされ、経産省によると冷え込みが厳しくなると2023年1―2月には東電管内の予備率はマイナスになる。経産相が大企業などを対象に強制的に使用電力量を制限する「電力使用制限令」を発令する事態も想定され、不安定な電力事情は夏ばかりか冬も継続する。一刻も早い環境整備が求められる。
電力の供給力不足は、11年の東日本大震災で原発を停止した一方、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い老朽火力発電所を休廃止した影響が大きい。3月に発生した福島沖地震では東電管内および東北電力管内で電力需給が逼迫した。
参院選では自民・公明の両党のほか日本維新の会、国民民主党などが、安全が確認された原発の再稼働に前向きな姿勢を示している。電力の安定供給と同時に、高騰する料金引き下げを視野に入れたものだ。電源構成のあり方を再議論する機運は醸成されつつあり、政府は選挙後、自治体任せでなく前面に立って議論をけん引してもらいたい。併せて、管理が難しい再生可能エネルギー向け蓄電池や、地域間で電力を融通する送電網の整備なども急ぐ必要がある。
(2022/6/28 05:00)
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