(2022/9/6 05:00)
政府は7日から、日本への入国・帰国を制限する水際対策を緩和する。医療逼迫(ひっぱく)の解消を前提に、1日当たりの入国者数を増やすほか、入国手続きも簡素化する。だが政府が目指す先進7カ国(G7)並みの制限緩和には程遠い。政府は医療機関・保健所の業務負担を軽減する全数把握の見直しをめぐる課題を解消し、入国制限のさらなる緩和を推進したい。
政府は1日当たりの受け入れ人数を2万人から5万人に増やすほか、添乗員を伴わないパッケージツアー客の入国も認める。また3回のワクチン接種などを前提に、入国・帰国前のPCR検査を免除する。入国時に陰性証明書の提出を求めていたのはG7では日本だけだった。
今回の制限緩和は一歩前進だが、コロナ禍前の2019年に3188万人を数えた外国人観光客に遠く及ばない。入国者全員にビザの申請を義務付けている規制も残る。円安はインバウンド(訪日外国人)需要を喚起するだけに、入国規制の段階的な緩和が求められる。そのためには感染状況やウイルスの変異なども見極めつつ、日常への回帰を目指すことが肝要だろう。
現在、感染症法で2類相当に位置付ける新型コロナの場合、医師は診断した感染者全員を保健所に届け出る必要があり、診療時間が制約される。保健所は医師の報告をその都度確認して入院調整する役割を担い、高齢者などの健康観察に十分に目配りできない事態も起きている。
政府は中旬にこの全数把握を見直し、感染の発症届と健康観察を高齢者らに限定し、その他は感染者数と世代のみの報告とする制度を全国一律で導入する方針を打ち出している。政府は全数把握に代わって、特定の医療機関で感染状況を把握する定点調査などを想定する。
ただ季節性インフルエンザ並みの5類相当に移行すると医療費に自己負担が発生する。軽症者が重症化した場合のフォローアップ体制のあり方も、各自治体と十分に詰める必要がある。コロナ禍と入国制限の緩和をいかに両立させるか、政府には確かな道筋を示してもらいたい。
(2022/9/6 05:00)
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