(2022/9/14 05:00)
「物価の優等生」と重宝されるもやし。スーパーは集客の目玉商品にするが、生産者は青息吐息の状態が続く。原料の緑豆や燃料費の高騰に足元の急激な円安が追い打ちをかける。
工業組合もやし生産者協会(東京都足立区)は近く、秋からの需要期に向けスーパーなどに値上げを要望する。今年に入り4社が廃業するなど経営努力は限界にきている。
もやしはスーパーで最も販売点数が多く、安さを店選びの目安にする顧客も少なくない。直近の小売値は200グラムで平均約30円。生産者は春夏に卸値を1―2円上げたが、小売値を据え置いた店は多い。卸値で販売する店もある。
約9割を中国産に頼る緑豆は、高収入を見込める大豆などへの切り替えや天候不順により相場が急上昇する。ウクライナ情勢や円安に伴う燃料費の高騰も痛手だ。もやし栽培はボイラで地下水を温めて使う。
この10年余りで生産者は110社ほどに半減した。原料の産地開拓は栽培に適した緑豆が少なく容易ではない。「健全経営で後継者が夢を持てる業界にしたい」と理事長の林正二さん。生産者の窮状は低迷する日本経済の課題を映し出す。もやしに限らず取引価格の適正化は景気回復の肝だろう。
(2022/9/14 05:00)
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