(2022/10/20 05:00)
国民の利便性向上のためには合理的で妥当な方策である。
政府は2024年の秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針を発表した。マイナカードの事実上の義務化である。これによってマイナカードを使った行政の効率化の基盤が、ようやくできると期待される。
国民の一部には、今もって「マイナカードの利便性が分からない」「情報漏えいが怖い」という不安や反発もある。しかし大半の国民がマイナカードを持ってこそ新たなサービスが意味を持つ。もっと早く義務化を打ち出しても良かったろう。
ここに来て政府が決断した背景には、カードの発行数が9月末で全国民の49%と半数に迫り、理解が進んだことがある。加えてコロナ禍のワクチン接種や定額給付金などの実施に手間取ったことも大いに反省しなければならない。マイナカードにワクチンの記録を残せば接種券の発送や接種確認の手間がなくなり、数千億円の事務費を節約できたはずだ。
個人情報の漏えいについても、マイナンバー創設時と現在の国民の意識は大きく違っている。スマートフォンなどを使ったカード決済が普及し、銀行通帳なども紙から電子に置き換わる時代だ。マイナカードの利用を一気に広める好機である。
むろん当初は、電子化の遅れている零細な医療機関の窓口で混乱もあろう。国はカードリーダーなどの導入補助などを通じて体制を整えてもらいたい。
そもそも、マイナカードの利用は単に健康保険証にとどまるべきものではない。より広範な行政サービスを連動させ、さらには民間にも利用機会を広げることが求められる。現在は法律によって、マイナンバーの使途は厳しく制限されている。法改正も検討する段階だ。
日本のデジタル化の遅れは産業の面でも国際競争力の低下につながっている。マイナカードの普及は、その挽回につながる。産業界もマイナンバー利用の促進を待望している。今回の政府の決断を高く評価し、迅速な実現を求める。
(2022/10/20 05:00)
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