(2022/10/31 05:00)
米国が12月から利上げ幅を縮小するとの観測が金融市場に織り込まれ始めた。米連邦準備制度理事会(FRB)が11月1、2日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で、12月の金融政策にどこまで言及するのか、円ドル相場の今後を左右するだけに会合の行方を注視したい。
米FRBは年内に11月と12月13、14日の2回の会合を残す。11月会合は8日の中間選挙を控え、政策金利を4会合連続で0・75%引き上げるとの見方が有力だ。歴史的なインフレの抑制に対応していることを有権者に示す。この11月会合で12月以降の金融政策がいかに話し合われるかが大きな焦点になる。
米国の7―9月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比2・6%増と3四半期ぶりのプラス成長だった。だが個人消費は同1・4%増と前期の2・0%増から鈍化。利上げのマイナス効果が経済のけん引役である個人消費にまで浸透し始めたと言え、景気後退の回避に向けて金融引き締め策を12月から緩和するとの観測が広がる。
米FRBは12月会合で利上げ幅を0・5%にとどめるとの見方が少なくない。日米金利差が縮小し、行き過ぎた円安が是正されることが期待される。
ただ米国の9月の消費者物価指数は前年同月比8・2%上昇と、8月の8・3%上昇から改善したものの、高止まりの状況にある。物価と景気両にらみの難しい経済運営を迫られる。
米国以外の主要国も金融政策でジレンマを抱える。インフレ抑制は経済を停滞させ、景気に配慮した金融政策では物価は高止まりする。景気後退が目前のカナダは政策金利の利上げ幅縮小を米国に先行して決断した。一方、米国よりインフレが深刻なユーロ圏は大幅な利上げを続けるなど対応は分かれている。
ウクライナ情勢の長期化と主要国の金融引き締めにより、世界経済の減速が鮮明だ。米国は中間選挙で野党・共和党が勝利すれば、負担の大きいウクライナ支援の縮小論が台頭しかねない。ウクライナへの“支援疲れ”が世界に波及しないよう、西側諸国は結束を確認したい。
(2022/10/31 05:00)
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