(2022/11/1 05:00)
政府・日銀は10月に6・3兆円の為替介入を実施した。円買い・ドル売り介入としては過去最大。2・8兆円規模だった9月の介入に対し、10月21日の覆面介入は「絶妙のタイミング」と規模で行われたとされ、以降は介入警戒感もあって1ドル=150円台に突入する円安に至っていない。ただ日米金利差の拡大を背景に先行きは予断を許さない。ドル売りに必要な外貨準備高にも限りがあり、相場の先行きに引き続き警戒したい。
政府・日銀が約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったのが9月22日。米連邦準備制度理事会(FRB)が前日に3会合連続となる政策金利0・75%引き上げを決め、1ドル=145円まで進んだ円安を同140円台まで円高に戻した。だが効果は長続きせず、10月20日には約32年ぶりとなる同150円台に突入。翌21日深夜に同152円に接近した際の覆面介入の効果が大きかった。
米FRBが12月以降に利上げ幅を縮小する可能性があると米メディアが報じ、相場がやや円高に反転したタイミングでの介入は絶妙だったと市場は見る。それ以降は米国経済の先行き懸念と日本への介入警戒感から、極端な円安に振られていないのは日本にとって好都合だった。
ただ米商務省が10月28日に発表した9月の個人消費支出は前月比0・6%増と、市場予測の0・4%増を上回った。底堅い個人消費を背景に、米国のインフレ圧力は根強く、米FRBの12月の利上げ幅縮小の観測がやや後退したともされる。米FRBが2日までの会合でどのような方針を示すかを確認したい。
政府・日銀はドル売りに必要な外貨準備高にも限りがある。9月末で1兆2380億ドル(約183兆円)に達するが、介入により前月末比4・2%減と過去最大の減少幅を示した。許容できる外貨準備高の目減りは1割までとの見方もあり、対処療法にも限界がある。“稼ぐ力”を意味する経常収支の黒字幅を中長期の視点で拡大することが肝要だ。急がば回れの構造改革なしに、円の価値は向上しないことを肝に銘じておきたい。
(2022/11/1 05:00)
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