(2022/12/23 05:00)
日銀が保有する国債の評価損が膨らみかねない。日銀は0・25%としていた長期金利の許容変動幅の上限を0・25%から0・5%に引き上げた。長期金利の上昇は国債価格の下落を意味し、含み損が拡大する。
日銀は2022年度上期(4―9月期)に保有国債で8749億円の評価損を計上している。評価損の計上は日銀が大規模金融緩和を開始した2013年以降では初めて。インフレ退治に躍起な米国の相次ぐ利上げに伴い、日本の長期金利も上昇したためだ。
国債の金利が1%上昇すると日銀の保有国債に28・6兆円の評価損が発生する。雨宮正佳副総裁が2日の参院予算委員会で明かした。だが日銀は満期まで国債を保有することを前提に購入し、償却原価法を採用しているため財務には影響しない。
問題は国債発行残高の過半を日銀が保有している現状だ。9月末の発行残高1066兆円のうち日銀は536兆円を保有し、保有率は50・3%にも達する。黒田東彦総裁が就任した直後の13年3月末は11・6%だった。
日銀の国債購入は財政ファイナンスの側面もある。日銀が出口戦略に近づくほど国債購入額は減少する。金融政策の正常化を財政規律の順守にもつなげたい。
(2022/12/23 05:00)
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