(2023/2/21 05:00)
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23―25日の日程でインド・ベンガルールで開かれる。世界的な金利上昇に伴い、深刻化する新興・途上国の債務問題が主要議題になる。議長国・インドは中国などの主要債権国に債務再編を提案するほか、途上国の債務削減を目指すG20の「共通枠組み」に中所得国を加えるかも協議する見通しだ。中国がこれら議題で支持に回るかが焦点になる。中国は債権国としての責務を果たし、支援の輪を広げたい。
コロナ禍からの経済再開とウクライナ情勢がもたらしたインフレを抑制するため、主要国は金融引き締めを講じたが、新興・途上国の通貨安、外貨不足、輸入の滞りの副作用を招き、デフォルト(債務不履行)に陥った国もある。G20は国際通貨基金(IMF)や世界銀行と連携し、課題を軟着陸させたい。
世銀によると、途上国の債務返済は2022年に前年比35%増の620億ドル(約8・3兆円)に達し、うち3分の2が中国への返済だった。スリランカのように、中国の投融資でインフラを整備したものの港湾運用権を中国に奪われる“債務のワナ”に陥った例もある。中国をはじめ債権国が高まる途上国のデフォルトリスクの回避に動くのは、当然の責務である。
中国がここにきて途上国への債務再編に前向きなのは一歩前進だ。アフリカのザンビアに続き、スリランカの債務返済を2年猶予する支援を表明した。ただIMFがまとめたスリランカへの金融支援29億ドル(約3900億円)を発動するには中国の支援は不十分と米国は指摘する。他方、G20の「共通枠組み」を中所得国に拡大する案も中国が難色を示している。そもそもG20はウクライナ情勢をめぐり分断しており、今回のG20財務相会議で4会議ぶりの共同声明を出せるかは不透明だ。
途上国はインフレや気候変動問題、世界の分断を招いたのは先進国で、影響を被ったのは途上国と受け止めている。インドは先進国と途上国のつなぎ役を自負しており、議長国として今回の会議をまとめてほしい。
(2023/2/21 05:00)
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