(2023/5/26 00:00)
企業のデジタル変革(DX)推進を進める上で、経営システム基盤のクラウド化が注目されている。日立システムズは、最先端の半導体、ネットワーク商品に技術的付加価値を加えて提供してきたマクニカに対して独SAP S/4HANAへのマイグレーション(移行)を実施した。コロナ禍でのプロジェクトにおいて成功のカギを握ったのは、同社が長年培ってきた顧客業務に関する専門知識(ドメインナレッジ)と、SAP導入ノウハウ、ユーザー企業を巻き込むプロジェクト実行力だった。
クライアントに寄り添い課題解決
「2025年、取扱量が2倍以上に成長しても、生産性を向上させて業務が回せる仕組みを構築する」-。日立システムズは、マクニカが18年に開始した新たな経営システム基盤「次世代システム」構築プロジェクトの支援を、20年に本格始動した。
マクニカでは当時、部門最適を推進してきた結果として、全社視点での業務効率が低下しているという課題が挙がっていた。これに加えて、同社内では表計算ソフトを使った作業も多く、作業の効率化も求められていた。
プロジェクトを担当した日立システムズ産業・流通営業統括本部第五営業本部の永田寛本部長は「半導体市場の激しい変化についていくためには、クラウドが持つ柔軟性・拡張性をシステム基盤に取り込む必要があり、ビジネス環境の変化に即応できる基盤の構築が求められていた」と振り返る。
こうした課題も踏まえ、両者がまず取り組んだのが業務課題の整理だった。日立システムズは、「商社・販社ビジネスに関する豊富な専門知識に加え、大企業から中堅・中小企業まで、日立グループ全体で700以上のSAPプロジェクト実績を積み重ねてきた」(永田本部長)点が強み。本プロジェクトでは、システム上の300もの課題に対して優先順位の高い業務課題への対応と、課題解決に導く提案をした。
例えばマクニカでは従来、得意先からの受注と、それに対応する仕入先への発注・在庫引き当てを紐づける作業が必要で、受注を手作業で処理していた。システムの改修により、現在は作業の大半が自動化され、月に400時間もの工数削減につながっている。
マクニカでは今回のマイグレーションを機に、マスターデータの統合やコード体系の変更も実施した。日立システムズでは、マスターデータの変更後も過去データの参照ができるよう、詳細なデータ設計を行い、これにより、確実なシステム移行に結び付けた。
半導体需要が高まる中、マクニカの受注残は次世代システム構築以前の約5倍に拡大した。システム基盤をオンプレミス(自社保有)からクラウド上に移行したことで、リソースの増強も数日で実行できるようになったため、急増する受注への対応に加え、新たなテクノロジーへの対応がしやすいシステム基盤が完成したことも効果としてあがっている。
確実なシステム移行
本プロジェクトが本格始動したのは、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた20年だった。複数ベンダーが参画する大プロジェクトでありながら、2年間フルリモートで進行する異例の状況であった。第五営業本部第二営業部第二グループの青木康宏主任は、「プロジェクトの中核を担うSAP S/4HANA担当ベンダーとして、マクニカ様や他ベンダーと綿密なコミュニケーションをとり、プロジェクト完遂に大きく貢献できた」と話す。また永田本部長は「当社が有する半導体業界に関する業務知識やSAP導入ノウハウに加え、クラウドやマネージドサービスなど各分野のスペシャリスト参画による確実なプロジェクト実行、そして何よりもマクニカ様による協力体制が成功のカギだった」と振り返る。
DXで業務プロセスの最適化をサポート
今回のプロジェクトのように半導体やネットワーク業界にかかわらず、大企業から中堅・中小企業まで、多様な業種・業界向けにアプリ構築からクラウド対応を含めたインフラ構築、さらには保守運用、ヘルプデスクまで含めて全方位型でSAP事業を推進する日立システムズ。永田本部長は「製造業や商社など、業界ごとにテンプレートをつくり、さまざまな企業に向けて横展開を図っていきたい」とSAP関連ビジネスの展望を語る。企業のDXに貢献するサービスとして、同社のSAP事業は今後も強い引き合いが見込まれる。
さらなる成長に向けて経営システム基盤を刷新 マクニカ事例の詳細はコチラから
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(2023/5/26 00:00)