(2023/5/12 05:00)
2023年春闘の回答が順調に推移している。連合の第5回集計結果によると、定期昇給を含む賃上げ率は3・67%と、前年同期より1・57ポイント上昇した。賃上げを要求している組合の76・2%による回答だ。7月にも発表する最終集計で3%を上回れば29年ぶりの高水準となる。
従業員300人未満の中小企業も健闘している。賃上げ率は3・35%と前年同期比で1・33ポイント上昇し、こちらも3%を上回る。賃上げを起点とした経済好循環の実現に期待したい。
輸入物価を左右する為替相場も円高基調で推移し、物価抑制の観点からは追い風と言える。米国の4月の消費者物価指数は前年同月比4・9%の上昇と、2年ぶりに5%を割り込んだ。インフレ鈍化から米長期金利が低下し、市場は日米金利差縮小を意識する。
米連邦準備制度理事会(FRB)はくすぶる金融不安と景気減速懸念に配慮し、6月会合で利上げを停止すると市場が織り込みつつあることも円買いを促している。
ただ金融不安が世界経済を減速させては元も子もない。13日までの日程で新潟市で開かれている先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、金融不安への有効な対策を市場に発信してもらいたい。
(2023/5/12 05:00)