(2023/5/16 05:00)
先進7カ国首脳会議(G7サミット)が19―21日の日程で広島市で開かれる。最大の焦点は中ロが脅かす国際秩序をいかに堅持するかだ。G7の国際社会への影響力は低下し、G20やグローバルサウスには政治的に中立な国が多い。西側諸国の価値観を押し付けるだけでは対中ロで国際社会は結束しない。サミット期間中に新興・途上国などを交えた拡大会合が3回開かれる。同志国の拡大に向けた起点の会合になると期待したい。
ウクライナに侵攻するロシアは核兵器による威嚇も辞さず、中国は覇権主義的な動きを強める。G7はロシア制裁とウクライナ支援の強化を表明し、中国には台湾有事も念頭に責任ある行動を求めるとみられる。だがロシア制裁の”抜け道”をふさぎ、中国の覇権主義をけん制するにはG7に賛同する同志国の拡大が欠かせない。議長国・日本は拡大会合で、グローバルサウスの取り込みに向けて主導力を発揮してもらいたい。
拡大会合にはG20議長国のインドをはじめ、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のインドネシア、55カ国・地域が加盟するアフリカ連合の議長国コモロ、中国が影響力を強める太平洋島しょ国代表としてクック諸島の各首脳らが出席する。
政治的に中立なグローバルサウスの多くは西側諸国にも中ロにも加担しない。G7は「法の支配に基づく国際秩序の堅持」を訴えつつ、ウクライナ情勢で深刻化する食料や気候変動、開発などの支援を通じてグローバルサウスへの関与を強めたい。経済安全保障の観点からもG7とグローバルサウスは農産物や半導体、重要鉱物などで中ロに過度に依存しない供給網を再構築する必要がある。中国の”債務のワナ”とは別次元の関係を築き、同志国の輪を広げたい。
中ロはインドを盟主とするグローバルサウスとの新たな国際秩序の形成を目指しており、中ロの軍事連携の強化も懸念される。ロシア制裁の抜け道でもあるインドにはG20議長国としての言動が求められ、日本とともに先進国とグローバルサウスの橋渡し役を担ってもらいたい。
(2023/5/16 05:00)
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