(2023/6/21 05:00)
ブリンケン米国務長官による訪中は、米中間の大きな隔たりをあらためて鮮明にした。台湾問題や経済安全保障で中国は強硬姿勢を崩さず、偶発的な衝突回避に向けた国防当局間の軍事対話の再開にも応じなかった。ただ習近平国家主席が面会に応じ、政府高官や民間の往来を推進することでは合意できた。中国も対話を重視したことは一歩前進と言える。米中は首脳会談を早期に実現し、軍事対話へと意思疎通を深めてもらいたい。
2024年に大統領選挙を控えるバイデン米大統領と、経済が息切れしている中国の習国家主席。バイデン大統領は、6月初旬に台湾海峡で中国軍艦が米軍艦に急接近したような緊張関係の緩和を目指す一方、選挙を見据えて安易に中国に歩み寄れない。経済失速の中国は米国から対中輸出規制の解除を引き出したいが、祖国統一は「核心利益の中の核心」でレッドライン(譲れない一線)である。
米中関係は国交正常化後、最悪と中国側は指摘する。ブリンケン米国務長官は習国家主席との面会に先立ち、秦剛外相および王毅政治局員と会談し、両国の関係を安定化させる必要性で合意したことは意義がある。秦剛外相が「適切な時期」に訪米することでも合意した。間断ない対話の継続が求められる。
ブリンケン氏の訪中は米中首脳会談実現への米側の地ならしと言え、9月にインドで開く主要20カ国・地域首脳会議や11月に米国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)での実現が期待される。
今回の米国務長官の訪中は約5年ぶりで、バイデン米政権の閣僚の訪中は初めてになる。米中関係がこれまで以上に悪化することなく、安定した関係を築けるかを見通せる段階ではない。今回の訪中を第一歩に、両国が建設的な意思疎通をどこまで積み上げられるか注視したい。
米中の22年の貿易額(輸出と輸入の合計)は過去最高を更新し、両国経済は不可分の関係にもある。米国は経済安全保障を確保しつつ、経済が息切れしている中国と協力できる分野も模索し関係安定につなげたい。
(2023/6/21 05:00)
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