ロボットと働く/ムラコシ精工 内製自動加工機と連携

(2023/7/25 05:00)

グループで技術力向上

ムラコシ精工(東京都小金井市、村越雄介社長)は、住インテリア事業部とファインコンポーネンツ事業部の二つの事業部が核となり、モノづくりを展開している。住インテリア事業部は快適な住環境を支える製品を作り出す開発力が強み。ロングセラー製品の「鬼目ナット」を代表とする木工用ジョイント、扉機能金具シリーズなどを手がける。山梨県笛吹市にある御坂工場と一宮工場では、ロボットで多様な工程を自動化している。(多摩・藤野吉弘)

  • 高温の鋳造製品をロボットがプレス機にセットする(一宮工場)

グループ企業のムラコシ工機(東京都小金井市)は自動化システムの開発・設計を得意とする。御坂工場は主に組み立て工程を担うが、自動組み立て機を21台備え、うち20台がムラコシ工機製。グループ内で自動機を製造し、システムを組めるのが強みだ。

完成したシステムは自動機で組み立てた丁番などの完成品を水平多関節(スカラ)ロボットで、位置決めしながら箱に整列させていく。きっちりと整列させ梱包(こんぽう)することで、運搬時など部品表面の塗装品質が保てる。

ムラコシ精工の杉井英人取締役常務執行役員は「今後は自動機に合わせたロボットの活用を進めていかなければならない」と強調する。大量生産型の自動機から少量多品種に対応した自動機に置き換える際、ロボットを生かし効率化していく。

一宮工場では亜鉛ダイカストマシンで鬼目ナットや扉機能金具の部品といった鋳造品を製造している。鬼目ナットだけで50種類以上の金型があり、月当たり400万―500万個を生産するため、生産効率化は必須だ。

  • 自動化システムをグループで構築できるのが強み(御坂工場)

ロボットは製造系以外でも、ドアレバーハンドルの開閉耐久試験に用い、ユーザーが実際に使用する状況を再現している。生産ラインでは鋳造後の製品をダイカストマシンから取り出す工程で活用。ロボットが取り出した鋳造品をプレス機にセット、不要なゲート・ランナーを取り外すシステムを構築した。

鋳造後の製品は高温で人手を介さずゲート・ランナーを取り外す一貫工程としたことで、効率化と安全性向上を両立できた。「ロボット導入により、生産効率は約30%向上した」(杉井取締役常務執行役員)という。通常は取り出し機で製品を取り出し、ある程度数量がまとまった段階で作業者が振動バレルまで運搬・処理を行い、不要部を外している。

同バレルの稼働・動作音が減り、職場環境の改善にもつながった。さらに、外したランナーなどを溶解炉で溶かし再利用する際、ロボットを活用したシステムでは、ランナーを高温のまま溶解炉まで運べ、一度冷えたランナーを溶かすよりエネルギーを効率良く使えるようになった。

現在14台あるダイカストマシンの中で、8台がロボットを組み込んだシステムとして稼働中だ。以前は機械商社を通じシステム構築していたが、現在はムラコシ工機が担当。「自動化の知見を蓄積し、グループ全体の技術力向上を図りたい」(同)とし、今後もロボットを組み込んだシステム導入を進める考えだ。

(2023/7/25 05:00)

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