(2023/7/25 05:00)
人工知能(AI)の規制に関する議論が本格化してきた。欧州連合(EU)が6月に「AI法」案を採択したのに続き、米政府と米IT7社はこのほど自主規制ルールを導入することで合意した。ただ法律による規制には米欧とも反発する民間企業が少なくない。AIのリスク回避と利活用をいかにバランスさせるかが大きな課題になる。主要7カ国(G7)議長国の日本は国際的なルールづくりを主導できるのか、胆力が問われる。
AI統治の必要性は5月のG7広島サミットで確認された。各国の担当閣僚が議論し、年内に結果を報告する。国や地域によって極端に規制が異ならないよう国際協調が求められる。
米政府は21日、オープンAIやグーグル、マイクロソフトなど米IT7社との間で、AIの安全性と透明性を高めるルールを導入することで合意した。AIが作ったコンテンツと識別できるシステムを開発するほか、コンテンツの開発段階から外部の専門家が関与し、詐欺・偽情報の拡散や差別・偏見などの人権侵害を防止する。法的拘束力のない自主規制とはいえ、米国がようやく本格的なAI規制に動くものと評価したい。
米IT業界が反発する法規制を整備し、実効性を担保できるかが今後の大きな課題になる。
一方、EUが採択したAI法案はAIリスクを4分類し「禁止」「規制を課す」「透明性の確保を求める」「規制なし」かを判断する。人権侵害のリスクがあれば規制を課し、ゲームへのAI活用は規制しない。年内の合意を目指すものの、民間企業の反発が少なくない。不透明な法案の先行きを注視したい。
日本はAIを技術力向上と新たな産業創出につなげていく意向で、経済への制約を最小限に抑えたAI規制としたい考え。米欧の動向を見極めつつ規制のあり方を慎重に探り、国際ルールづくりを主導したい。他方、中国は政権に不利益な情報が拡散しないよう、8月15日から国内でのAI関連サービスを許可制とする。AIの国際ルールづくりへの関与も目指しており、中国の動向も注視したい。
(2023/7/25 05:00)
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