社説/プライム市場で離脱進む 「最上位市場」の位置付け明確に

(2023/7/26 05:00)

東京証券取引所の最上位に位置付けられるプライム市場。同市場の上場基準を満たさない企業がスタンダード市場への〝降格〟を申請する動きが進む。2022年4月の東証再編は、上場基準未達でもプライム市場に上場できる経過措置を講じていたが、25年3月末(3月期決算企業)に期限を迎える。プライム市場を名実ともに最上位市場に再生し、これまで以上に世界から投資を呼び込みたい。

東証は22年4月4日に4市場から3市場に再編された。最上位のプライム市場への上場基準は、流通株式の時価総額100億円以上(東証1部は10億円以上)、発行株に占める流通株式の比率35%以上(同5%以上)と厳しい。このため上場基準が未達でも、基準達成に向けた事業計画書を提出すれば上場できる経過措置を設け、1部上場の300社近い未達企業がプライムに移行していた。再編当初とはいえ、最上位市場の位置づけが曖昧だった感は否めない。

3月期決算企業の場合、経過措置の期限は25年3月末。1年の改善期間を経た26年3月末時点で上場基準に達していなければ監理銘柄に指定され、同年秋にも上場廃止となる。東証は23年4月1日から9月29日までの期間限定で、無審査でスタンダード市場に移行できる特例措置を講じている。日本取引所グループによると、6月末時点で47社が申請しており、このペースなら100社超の企業が申請する可能性がある。企業は身の丈に合った市場で資本効率の向上を推進してもらいたい。

東証再編は企業価値を引き上げることで、市場の魅力を高めるのが最大の狙いである。その一環として、東証はプライムおよびスタンダード市場の上場企業を対象に、株価純資産倍率(PBR)を1倍以上に引き上げるよう求めている。1倍を割ると株価が企業価値より割安であることを意味する。スタンダード市場に降格してもこの基準をクリアする必要がある。自社株買いや増配といった一過性の株主還元にとどめず、成長投資や事業の選択と集中によりPBRの改善を目指してほしい。

(2023/7/26 05:00)

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