社説/米FRBが0.25%上げ 「軟着陸」へ最後の利上げか注視

(2023/7/28 05:00)

米連邦準備制度理事会(FRB)は26日(現地時間)、政策金利を0・25%引き上げることを決めた。前回の6月会合では米金融機関による融資の手控えを警戒し、利上げを一時停止していた。利上げ再開を決めたのは、堅調な米国の景気と雇用情勢を確認できたためだ。利上げに動いても景気後退には陥らないとのパウエル米FRB議長の自信の表れと言える。米国経済が懸案のインフレを抑え込み、軟着陸すると期待したい。

米FRBは2会合ぶりに政策金利を0・25%引き上げ、同金利の誘導目標を5・25―5・50%とした。2022年3月の利上げ着手から、この間に政策金利は5%も引き上げられた。この金融引き締めが奏功し、ピークの22年6月に9・1%だった消費者物価上昇率が23年6月には3・0%まで下落した。

ただ、エネルギー価格の上昇が一服した一方、人手不足に伴う賃金上昇により、サービス価格の上昇が続く。米国の6月の平均時給は前年同月比4・4%増と市場予測を上回った。米FRBが物価上昇率の2%目標に向け、利上げを再開したことは適切な判断と評価したい。

米FRBは景気判断を「緩やかに拡大している」に上方修正した。パウエル議長は米中堅3行の破綻について「経済に重大な影響を及ぼさない」とし、今後の米国経済は「リセッション(景気後退)を予想していない」と指摘。講じてきた金融政策に自信を示す。ただ物価上昇率2%が継続するまでには時間を要するとみられ、引き続き慎重な政策運営が求められる。

市場では今回の7月会合で利上げは打ち止めとの予想が優勢で、9月以降の追加利上げ観測は後退している。27日の外国為替市場は米利上げ後も円高基調で推移した点に留意したい。

日銀は28日まで金融政策決定会合を開く。イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を修正し、許容する長期金利の上限を引き上げるサプライズがあれば、日米金利差の縮小が市場に意識され、円が買われやすくなる。決定会合の結果と為替動向を注視したい。

(2023/7/28 05:00)

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