(2023/8/15 05:00)
終戦から78年。「戦没者を追悼し平和を祈念する」きょう15日、「終戦の日」に平和の尊さをあらためて心に刻みたい。
ロシアのウクライナ侵攻から1年半。核兵器の使用を示唆し民間人の虐殺も辞さない「プーチンの戦争」が国際秩序を大きく揺らす。世界は核廃絶どころか軍拡の機運が醸成し、核で核の使用を抑える核抑止の限界論が指摘される。唯一の被爆国・日本に何ができるのか。国際秩序の再構築に向けた現実的な取り組みを積み重ね、核廃絶の理想に一歩ずつでも近づきたい。
日本は核兵器禁止条約に批准していない。米国の「核の傘」に守られ、先進7カ国(G7)広島サミットでは核抑止の必要性に言及した。日米同盟と安全保障の観点からやむを得ない判断と言える。他方、日本は核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加すべきとの指摘がある。公明党は核保有国と非保有国の橋渡しになるよう参加を求めている。ドイツは米国と核兵器の運用を共有しつつオブザーバー参加する。参加の是非はともかく、対ロの結束はG7にとどめず、非核国を含む国際連携に発展させる必要がある。
だが世界の対立構造は東西冷戦期の二極化から多極化へ移行し、各国の思惑が複雑に絡む。植民地を経験した東南アジア諸国はイデオロギーより国益を優先し、アフリカではロシアと関係が深い国が少なくない。ただインドが米国との6月の首脳会談で、軍事・経済両面の連携強化で合意した意義は大きい。中国と国境問題を抱え、ロシアへの兵器依存も緩和したいインドをさらに引き寄せ、グローバルサウスとの結束を強めたい。
中国とは対立と協力の均衡を保つ必要がある。日中は意思疎通の継続で一致し、米国もブリンケン国務長官ら2人の閣僚が訪中した。中国とは安保・先端技術の対立一辺倒ではなく、対話と経済補完の継続で不測の事態を回避したい。またウクライナが領土を守り抜くことは、中国に台湾統一が容易でないことを再認識させよう。ウクライナ戦争の終結が、新たな国際秩序構築の起点になることを願う。
(2023/8/15 05:00)
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