(2023/8/29 05:00)
政府・与党は2段構えで物価高対策を講じる方針だ。9月末が期限の激変緩和措置のうち、まずガソリン補助金の延長などを月内にまとめた上で、電気・ガス料金の抑制策を含む経済対策を9月に策定する見通しだ。実質賃金の減少が続く中、個人消費を支える効果に期待したい。ただ富裕層も一律に支援する同措置は財政面からいつまでも続けられない。中でも延長を繰り返すガソリン補助金は縮小・廃止の条件を盛り込んだ出口戦略も併せて示してもらいたい。
政府は価格高騰を抑える激変緩和措置をガソリン、電気・ガスに講じている。中でもガソリン価格の高騰が著しく、レギュラーガソリンの平均価格は15年ぶりに1リットル当たり180円超。9月末の補助金終了で同200円が視野に入る。政府・与党はガソリンを手始めに電気・ガス料金の抑制策を検討し、力強さを欠く内需を支える意向だ。
総務省によると7月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比3・1%上昇し、3%超は11カ月連続。激変緩和措置がなければ同4・2%上昇に達していた。日銀は7月末に2023年度の物価上昇率を2・5%(4月時点の見通しは1・8%)に上方修正しており、政府・与党が物価抑制に動くこと自体は適切な判断である。
ただ激変緩和措置には課題も少なくない。財政負担に加え、市場メカニズムを歪める問題が指摘される。電気代などの価格が高騰すれば使用を控え、価格が下がれば使用を増やすのが本来の価格形成の姿。政府介入による価格決定は使用を促す可能性がある。ガソリン補助金は再生可能エネルギーの普及に逆行しかねないとの指摘もある。
激変緩和措置は所得制限も設けていない。低所得者にとどまらず富裕層も一律に支援する。政府・与党は同措置の対象を低所得者に絞り込み、財政規律を堅持することも検討したい。また激変緩和措置は実質賃金が増加に向かえば縮小・廃止するといった出口戦略も明示してもらいたい。同措置の財源は税や国債であり、長引けば国民負担も増えることに留意が必要だ。
(2023/8/29 05:00)
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