無人搬送車、パッケージで提案 IDEC、仏社買収でソリューション拡充

(2023/10/2 12:00)

  •     IDECの自社倉庫で稼働する、自律走行ホイールを装着した搬送システム

制御装置、工場自動化(FA)機器メーカーであるIDECは、自律型電動ホイールメーカーである仏ez―Wheel(イージーホイール)を8月に買収した。IDECの保有する安全技術を組み合わせ、無人搬送車(AGV)・自律移動ロボット(AMR)のソリューション提案拡大を狙う。5年後までにイージーホイール製品の売上高で20億円を目指す構えだ。

IDECは3年ほど前から安全装置の知見を生かせるAGV業界に着目。2022年にイージーホイール製品の国内販売を開始した。このとき製品化した安全自律走行ホイールは、取り付けるだけで国際標準化機構(ISO)の規格に準拠した搬送システムを構築できる。開発時間を半減するなどコストの大幅削減が可能な点や、既設物流ラインにも組み込みやすい柔軟性が評価され、自動車・物流業界を中心に300件以上の引き合いを得ているという。

IDECのモンディ・アルノ上席執行役員は「人手不足に加え『人にはより高付加価値な作業を』という意識から、AGV業界は今後も年平均20%以上成長していく」と見込む。今回の買収以降、AGV運用システム構築に関わるソフトウエア開発を強化し、製品を含めたパッケージでの提案を目指す。社内機能の増強に加えて社外ソフトウエアベンダーとの協業も構想中だ。

自力でのシステム構築を希望する顧客には製品のみを納入。一方で中堅業者や「大型物流センター内の1区画」といったような、数台程度のAGVを運用するエリアにパッケージで売り込む。納期短縮に加え、システム運用に至るまでの工数も大幅に削減できるという。システムインテグレーター(SIer)部門を持たない顧客に売り込める点も強みだ。複数車両を運用管理するフリートマネジメント機能まで含めたパッケージの構築を目指す。

日本と欧州に加え、北米への進出も予定している。モンディ上席執行役員は「見込める市場の大きさが最大の魅力だが、新しいことが受容されやすい風土も特徴だ」と捉える。

(2023/10/2 12:00)

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