【早読み特選】ノーベル生理学・医学賞に「mRNAワクチン」 カリコ博士ら2氏

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  カタリン・カリコ博士（左）とドリュー・ワイスマン博士

スウェーデンのカロリンスカ医科大学（ストックホルム）は２日、２０２３年のノーベル生理学医学賞を、独ビオンテック上級副社長で、米ペンシルベニア大学客員教授のカタリン・カリコ博士（68）、米ペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン博士（64）の２氏に贈ると発表した。受賞理由は「メッセンジャーＲＮＡ（ｍＲＮＡ）ワクチン開発につながる基礎研究」。ｍＲＮＡワクチンは新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）の歯止め役として初めて実用化された。

12月10日にはストックホルムで授賞式を行う。賞金として１１００万スウェーデンクローナ（約１億３３５０万円）が２氏で等分して贈られる。

ｍＲＮＡ（リボ核酸）は抗原となるたんぱく質を細胞内で作り出すために使われる遺伝物質。ｍＲＮＡワクチンはウイルスの設計図であるｍＲＮＡを人工複製し、感染に対する免疫反応を促す。

カリコ博士は05年、ワイスマン教授と共同で、ｍＲＮＡを構成する物質の一つを置き換えると、免疫細胞の炎症反応を抑制できることを発見した。

ｍＲＮＡ単体では体内酵素に分解されるため、脂質の膜で保護して細胞に到着後は速やかに溶ける手法が開発された。ｍＲＮＡを細胞に届ける薬物送達システム（ＤＤＳ）の要素技術を90年代半ばに確立した。