産業春秋／新卒採用は内定式で一段落ではない

きょう２日、企業の多くが新卒内定式を行う。しかし「今年は何人が来てくれるか」と内定辞退者が出ることを危ぶむ声も聞こえてくる。ここ数年、内々定の段階で所定の人数が確保できず、中途採用の募集を通年で行うようになったという話も耳にする。

２０２０年４月入社では、コロナ禍による急激な業績悪化で会社都合により内定を取り消すケースも報じられた。ただ、就職戦線はそれ以前から売り手市場にある。折に触れて目にする「配属ガチャ」という言葉も知れ渡った。

配属ガチャとは、新入社員がどこに配属されるか分からないことを、トイカプセルのガチャガチャになぞらえた言葉だ。受け入れられないと、面接で意思を示す学生は年を追うごとに増えている。

こうした状況は一般に知名度が高くない企業に限ったことではない。業界大手でも、伝統ある企業でも少なからず生じている。どうすればいいのか。

三菱総合研究所は一つの解を示す。採用の定常業務は人工知能（ＡＩ）も活用し効率化する。これはと思う学生は募集の早い段階で入社後のキャリア形成まで話をし、合意を形成することだと。人手不足は深刻さを増す。採用活動は内定式で一段落ではない。